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『拝啓、傷ついた貴方へ』

鳳来高校３年D組の担任教師・九条 里奈（松岡 茉優）。

卒業式の日。
九条は教師として適切な距離をとり適切な判断を選ぶだけの１年を過ごしてきました。
そこにあるのは無事に１年を終えたことに対しての安堵感だけで感動や感傷の想いははありません。

そして上階から職員室へ戻ろうとしたその時、誰かに背中を押された…。
上階から落下する九条の視界に入ってきたのは生徒の手…そう犯人の手…。
『D組卒業おめでとう』のコサージュが…。
「私は生徒に殺された…」と、そう理解し地面につきそうになった瞬間、なぜかそこは３年D組の教壇の前、１年前の始業式の日でした。

九条は自分の未来を変えるため生徒との向き合い方を改めます。
「私は、何でもします」
そして、覚悟を決めた２度目の１年が始まります。

『拝啓、人を信じぬあなたへ』

九条は、前回の人生で寄り添えなかった生徒・鵜久森（芦田 愛菜）への仕打ちを『何でもして』暴きだしました。
すると週明けから３年Ｄ組の様子が一変。
鵜久森を無視していた生徒が、何事もなかったように笑顔で話しかけてくるのです。
奇妙なほど普通の空気の教室に…。

そして、夫・蓮（松下 洸平）から離婚届を突き付けられてしまいます。

『拝啓、心優しきあなたへ』

「九条 里奈を殺害する」
３年D組の黒板に九条（松岡 茉優）への殺害予告が書き込まれ、学校は騒然となります。野次馬が現れ、教員室も慌てふためき、「犯人は一体誰なのか…」と、誰もが口にしました。
D組の面々は相楽（加藤 清史郎）たちを疑いますが、相楽は否定し、犯人については誰もわからないままです。

一方、九条は殺害予告を行ったと推察した《ある生徒》の前へと立ちはだかり、「あなたがこの現状を変えたいのならば…何でもする」と、真っすぐに告げます。

そして、生徒同士の目論見で、『九条 里奈 担任はく奪』の嘆願書を取りまとめ、九条を教室から追放することに成功します。
九条は、学校にいられない状況の中で、この問題を解決するために鵜久森（芦田 愛菜）を信頼する味方として『頼る』と宣言します。
鵜久森は、その思いを受け取り《ある行動》を開始します。

『拝啓、世界に居場所が無いと思う貴方へ』

「私…今、２週目の人生なんだ」九条（松岡 茉優）は、離婚の話を撤回してくれた夫・蓮（松下 洸平）にこれまで自分が体験した『２週目』の人生を打ち明けます。
こんな話を簡単に信じてもらえるわけがないと思っていましたが、蓮の口からは意外な言葉が飛び出します。

それから１ヵ月、３年D組には静かな時間が流れていました。
鵜久森（芦田 愛菜）は東風谷（當真 あみ）と阿久津（藤崎 あゆみ）と仲を深め、鵜久森の周りは穏やかに良い変化を見せ始めていました。

そんな中、前回西野からの指示にミスしてしまった江波（本田 仁美）は、常に友人の顔色をうかがい、友達という『居場所』を失うことを必要以上に怯えいました。

そんな中、江波は幼なじみの浜岡から想いを告げられ、その返答に迷っている最中突然、教室に校内放送が鳴ります。
「３年D組の江波さん、化学準備室まで来てください」と、その声の主は九条でした。

「何？急に呼び出して」
なぜ呼ばれたのか全く心当たりのない江波に「昨晩、浜岡 修吾さんという方から交際を申し込まれましたか？」と、九条が問います。
急に事実を突きつけられ驚く江波。
九条は１周目の人生と状況が変わっていないと確信すると「その方とは金輪際、関わりを断ってください」と告げます。
訳が分からずあっけにとられる江波に「2023年8月30日。江波さんが持っていたカッターナイフで、浜岡さんを刺すことになる日です」と、九条は衝撃の未来を告げます。

『拝啓、変り者と呼ばれる貴方へ』

九条（松岡 茉優）にとって『地獄』と称されることになる２学期が始まり、鳳来高校は１ヵ月後に文化祭を控える状況となっていました。
そこで九条は突然文化祭でのある催しの責任者に瑞奈（詩羽）を指名します。

学外でプロとして音楽活動をしている瑞奈はそもそも文化祭に参加する意識もなく、その提案に驚きます。
そんな暇はないし、そもそもクラスの皆と交わることなく日々を過ごしてきて、その上、皆からはその風貌や行動に対して、変だ、非常識だ、調子に乗ってる、と批判されてきた学生生活を送っていました。
「なのになぜ自分が」と、戸惑う瑞奈でしたが、その文化祭の催しに引退公演を行う予定であるダンス部の生田（莉子）から「有名人風吹かせて私たちの青春をぶち壊すのだけはやめてね」とにらまれ、ますますやる気をなくしてしまいます。

その担当を断るため九条を追いかけた瑞奈は、そこで九条に告げられます。
「文化祭前日、ある問題が生じ、今年の文化祭はなくなります。それを止められるのは瑞奈さん、あなただけです」と…。

『拝啓、今を生きるすべての貴方へ』

文化祭の打ち上げの祭、東風谷（當真 あみ）から不意な想いを吐露された鵜久森（芦田 愛菜）。
その言葉を受け、何かを返そうとした…その瞬間、東風谷は漏れ出てしまったその想いに戸惑い、飛び出してしまいます。
鵜久森は東風谷を見失います。
その雑踏の中、鵜久森は自身に起きた『二周目』の人生を思い返していきます。

一方の九条（松岡 茉優）は、鵜久森と共にいつものようにお昼ご飯を一緒に食べていた際に打ち明けます。
「鵜久森さんも…同じですよね？」と。
自分自身が『二周目』であること、そして鵜久森もそうであること。
互いに起きた不可思議な現象を確かめ合う二人でした。

そして二人はもう一つ共通して感じる『感覚』を語ります。
それは、「３回目は絶対にない」、そう確信的に感じていること。
だからこそ、私たちは未来を変えるために今を必死に生きているのだと。

そんな中、独りで想い悩む東風谷の元を訪ねる九条。
そして、想い悩む生徒に向けていつものように「私にできることは、何でもします」と真っすぐに告げます。

鵜久森は自身に問います。
『自分はなぜこの二周目の人生』が与えられたのかと。
その時、彼女の中で「叶えたい」と願っていた自分の『希望』の全てが叶えられたことに気づき、彼女の中にはもう一つ、変えようのないある『感覚』が襲います。

『「向き合う」ことを恐れる貴方へ』

鵜久森（芦田 愛菜）が非業の死を遂げて以来、鳳来高校は休校が続いています。
校内の立ち入り禁止区域で起こった悲劇は世間の注目を集め、教員たちはマスコミの対応に追われますが、鵜久森の身に一体何が起きたのか、その真相は依然として分からないままです。

かけがえのない教え子を亡くして失意の九条（松岡 茉優）は、運命を変えられなかった自分を責めながら鵜久森の葬儀に出かけます。
そこで出会った鵜久森の母・美雪（吉田 洋）から受けた意外な言葉に、ふさぎ込んでいた九条の心は突き動かされることになります。
さらに、夫・蓮（松下 洸平）の支えにも胸を打たれ、やがて九条は顔を上げます。

「鵜久森の死を運命で片付けてはいけない」
彼女を『命を失った生徒』ではなく、『最後までその命を燃やし生き抜いた生徒』であったと証明するため、九条は29人の生徒が待つ3年D組の教室へと向かいました。

『「本当」を曝け出さぬ貴方へ』

「我々は、全力でその理由と向き合いたいと思っています」。
九条（松岡 茉優）と３年D組の本気がもたらした学校の記者会見は、鵜久森（芦田 愛菜）の母・美雪（吉田 羊）の心にしっかりと届きます。

美幸は、自分も今以上に向き合わなければと頭を上げます。
『しかし、向き合うべきは娘を追い込んだ何かではない。あの日、娘は何をするためにあの場所へ行ったのか、最後にどんな顔をしたのか、ただそれが知りたい。だからこそこの件で誰かが追い詰められるような事は望まない。』そんな美幸の思いを九条も力強く受け止めます。

しかし、教室では一つの『事実』を知った生徒たちがある人物を追い詰めます。
クラス全員から疑いの目を向けられたのは、相楽（加藤 清史郎）。
浜岡（青木 柚）が鵜久森の事件の日に学校に来ていたこと、そしてその浜岡と相楽がつながっていたこと、それが露見した教室内で、相楽はクラス全体を凍りつかせる衝撃の一言を口にします。
「あいつは、俺のせいで死んだ」…と。

『償うことに迷える貴方へ』

鵜久森（芦田 愛菜）に事件のあとで雲隠れしていた浜岡（青木 柚）を、迫田（橘 優輝）たちが発見します。
「事件の日、何で学校にいたんだ？」
問い詰める迫田に、浜岡は人に頼まれたからだと答えます。
その人物は、３年D組のある生徒だと言います。
浜岡は、その人物の依頼で学校に侵入したと告げます。

迫田らの報告を受けた九条（松岡 茉優）は、学校に忍び込んだ浜岡が鵜久森にとって誰にも知られたくない何かを見つけたのではないかと推察します。
鵜久森が命を燃やして守ろうとしたのは、一体何だったのかと頭を巡らせます。

翌日、九条と３年D組はそのある生徒から直接話を聞こうとしますが、その人物は登校をしませんでした。
その時、九条の頭を最悪の状況がよぎります。

「もしもその人物が罪の意識に苦しめられ、絶望していたとしたら」と。
九条は、慌てて教室を飛び出し、捜索に走ります。

「生徒に最悪の終わりを選ばせては、絶対にいけない」
九条と同じ思いのD組全員も教室を飛び出していきます。

『「変らない』と諦める貴方へ」

一年前、生徒に突き落とされた自らの死の未来を変えるため、与えられた２周目の人生で何でもする覚悟を決めた九条（松岡 茉優）は、ただひたすらに駆け抜けました。

この世界を「変えよう」と。
その思いに、これまで無自覚に人を傷つけ、無自覚に我慢し、無自覚に見過ごしてきた３年D組の生徒たちも一人、また一人とその「本気」を解放してきました。
そして再び迎える、あの卒業式の日。
九条は１年前と同じ場所で、あの人と対峙します。